前回に引き続き「釣り針」について今回は実践に役立つ内容を記載します。
「釣り針」の原型は石器時代から変わっていませんが、昔より京毛鉤、江戸針、丹吉針、満山針、加賀毛鉤、秋田針、中徳針など全国各地で釣り針の生産が行なわれていました。
その中でも大きく発展したのが小寺彦兵衛(1800~1870)が職組と言われている兵庫県の播州釣り針です。
このエリア周辺には、がまかつ、オーナーばり、ささめ針、ハヤブサ、カツイチ、土肥富、まるふじ、もりげん、川せみ針、勝岡毛針製作所、ヴァンフックなど有名なメーカー本社をはじめ小規模の釣り針メーカーが今でも多数あります。(写真は小寺彦兵衛の肖像画:「播州針」より)
では、釣り針の形状と特徴を下の図を参考に19とおりの特徴をご説明をします。
A:大きな魚に小さな針・・・針がかりは良くないが、食い渋りに有効。口が小さなカワハギやべラにも有効。取り外しは困難。
B:小さな魚に大きな針・・・針がかりは良いが、魚に警戒される。活性が良いときに使う。
C:小さくて太い針・・・折れにくく、伸びにくい。エサが付けにくく生き餌には不向きで餌が取られやすい。
D:イケの大きい針・・・一旦魚をかけた後は外れにくいが、魚の取り外しや餌をつけるのに若干不便。
E:フトコロの狭い針・・・針がかりが悪いが、一旦魚をかけた後に外れにくい。魚の取り外しや餌をつけるのに若干不便。
F:長軸でフトコロの狭い針・・・魚の取り外しや餌が付けやすい。歯の鋭利な魚や食いが立っている時は有効。魚に警戒心を与え、口掛かりが多く、外れやすい傾向にある。
G:フトコロの広い針・・・魚の針掛かりが良く、口の大きい魚やアジのように口が柔らかい魚にも有効。伸びやすく、魚を逃がすことが多い。
H:曲がりの急な針・・・若干針掛かりが悪いが、一旦針掛かりしたら外れにくい。食い込んだ後に合わせが必要。曲がり部分で折れやすい。
I:針先が外に向いている針・・・魚の喉元深くに突き刺さる傾向にあり、飲み込んだ場合は魚を早く弱らせてしまう。リリースには向かない。
J:針先が内に向いている針・・・針を飲み込まれてもすぐには掛からず、釣り糸に引かれて自然にかかる。置き竿に有効。針掛かりが遅いので競技には不向き。
K:ひねり針・・・餌の装着が容易で、魚への針掛かりも良く、繊細な魚に向いている。折れやすい。
L:丸型針・・・魚が口に含みやすく、折れにくい。食いの悪い魚や強い引きの魚に有効。餌が取れやすく伸びやすい。
M:角型針・・・魚が口に含みにくく、折れやすい。魚の喉元にかかりやすい。餌も取れにくく伸びにくい。
N:イケのある針・・・かけた魚は外れにくく、餌持ちも良い。魚の取り外しが若干不便。
O:イケのない針・・・生き餌を弱らせずに付けることができる。数を上げるトーナメントに有効。かけた魚は外れ安く、餌持ちも悪い。魚の取り外しは簡単。リリース向け。
P:イケの小さい針・・・魚の取り外しや餌の装着が容易。生き餌を弱めることなく魚を誘いやすい。餌が取れやすく、魚もはずれやすい。
Q:太くて大型の針・・・かけた後の魚を急激に弱らすことができ、折れにくく、伸びにくい。餌の装着が困難で、生き餌には不向き。
R:軸が短い針・・・針の伸びは少なくて魚の食い込みも良く、掛けた後もはずれにくいが、針掛かりが悪く、魚の取り外しも不便。
S:軸が細い針・・・餌の装着が容易で、魚も餌をくわえやすい。一旦くわえた餌を吐き出す魚にも有効。折れやすく伸びやすい。
(写真は19とおりの釣り針形状:「播州針」より)
最後に、今回の「釣り針」についてですが、広辞苑ほどのボリュームでかなり詳しく書かれた書物「播州針:勝部直達著/平成元年発行」を参考にしました。
今後このような書物は出ないかも知れないほど充実しています。
播州釣針協同組合TELにて在庫限りですが、今でも発売されています。
釣りまっせ!/FisihngCatを見たとのことをお伝えいただければ幸いです。(定価18,000円/写真は播州針)