「渓流釣り」で、毛バリを使う釣り方の「日本古来からの伝統の釣り」を「テンカラ(天唐・テンガラ)」(その他、地方により、トバシ、タタキ、ハシカラシ、毛釣りと呼ぶ場合もある)と全国的に呼ばれていますが、「テンカラ」と「フライ」の違いなど、よくわからないことも多いのが現状ではないでしょうか。
そもそも「毛バリの釣り」が考案されたのは、エサ釣りより数千年後で、今から約1万年前と言われています。
擬似バリは、ヨーロッパや北欧では、新石器時代からで、日本でも縄文文化の後期から、それらしきものが使われていたと言われています。
それでは、近年の「テンカラ」釣りについて、もう少し詳しくご説明すると、「山間僻地の職漁師の釣り」であったらしく、今で言うところの「機密保持」により、記録したものは一切残さず、秘伝の釣り方は、口承などによりその家または、地域のみで独自に発展していたものと思われます。
これらにより、現在でも「秋山郷伝承毛バリ(奥鬼怒岩魚保存会)」など地域により「独自性」が保たれている日本独自の「よく釣れる漁師の釣り方」なのです。(写真は、秋山郷伝承毛バリ)
それでは、実際のタックルですが、10~15尺(3.3~4.5m/6:4の調子)ほどの竹竿などの穂先に「テンカラライン(飛ばしやすくしたもので、フライ用シューティングラインなどを使うか自分で作る)」「ハリス(0.6~1号)「テンカラ用の毛バリ」の順にセットして完了で、フライのようにリールはつけない釣り方で、いたってシンプルです(仕掛け図参照)。
続いて毛バリですが、ごくごく普通の「小さめの釣り針」に「中が黒いニワトリの背中または腰の毛」を「絹糸や木綿糸」で巻いたシンプルなもので、「1種類の毛バリで1年を通す」釣り師もいます。
「テンカラ」は、これと決めた「自信のある毛バリ」をどのように流して1匹でも多く釣り上げるか?に集中し、どんな環境下でも仕掛けは変えずにテクニックを駆使して釣りをするため、難しい釣りだとも言われています。
「テンカラは、フライより釣れる」といわれていますが、ゲーム感覚を持ち合わせている「フライ」とは異なり、「生活するため」「釣るための釣り方」から生まれた「テンカラ」に釣果の軍配が上がるのは言うまでもありませんが、近年は、「テンカラ」で釣っても、持ち帰る魚の数を決めており、残りはリリースする釣り人も少なくありません。
また、釣れる川は、「フライ釣りが可能」であれば、まず大丈夫なので、漁協組合や管理釣り場の事務所などに念のため問い合わせてみてください。
私がプロデュースしている「釣りまっせ!FishingCat」(有料スマートフォンサイト)の川・渓流・湖メニューからも簡単に検索ができます。
「シンプルほど難しいがよく釣れるし、奥が深い」日本ならではの「テンカラ釣り」をぜひ、試してみてはいかがでしょうか?(写真は、中黒のニワトリの毛)